介護施設の運営ガイド
施設タイプ別

ユニット型特養の人員配置|ユニットリーダーの配置基準と減算の考え方

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

この記事の結論

ユニット型特養は「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第39号)第47条により、ユニットごとに常勤のユニットリーダー1人以上、日中は各ユニットに常時1人以上、夜間・深夜は2ユニットごとに1人以上の介護職員又は看護職員の配置が必要です。

🔧 この記事に関連するツール

人員配置基準チェッカーで確認する →

ユニット型特養を運営していると、「ユニットリーダーは必ず常勤でなければならないのか」「人手が足りないときに一人で複数ユニットを見てもらうのは基準違反になるのか」といった、ユニットケア特有の人員配置の判断に迷う場面が多いのではないでしょうか。従来型特養向けの一般的な人員配置基準の説明だけでは、ユニット型だけに課される「ユニットリーダー」や「ユニットごとの配置」という上乗せの要件までは拾えません。この記事では、ユニット型特養に特有の人員配置基準をユニットリーダーの位置づけを中心に整理し、基準を満たせなかった場合の報酬への影響の考え方までまとめます。

ユニット型特養の人員配置が「わかりにくい」と感じる理由

特養(特別養護老人ホーム、正式名称:介護老人福祉施設)全体の人員配置基準は、介護・看護職員の常勤換算数(パート職員等の勤務時間を常勤職員の人数に置き換えて計算する方法)が入所者数の3分の1以上であること、という「3:1基準」が土台になっています。この総量規制自体は、従来型・ユニット型で変わりません(「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第39号)第2条第1項第3号イ)。

ユニット型特養が独自に難しいのは、この総量規制の上に、ユニット単位での配置ルールが別途かぶさってくる点です。ユニット型は、少人数の個室と共同の生活室(リビング)を一体として構成した「ユニット」ごとに、入居者が社会的な関係を築きながら日常生活を送れるようにする施設形態として、基準省令の中で従来型とは別の章(第38条〜第49条)にまとめて規定されています。ユニットは原則として10人程度、15人を超えないことが求められています(基準省令第40条)。

つまりユニット型では、「施設全体で何人必要か」という従来型と同じ計算に加えて、「ユニットごとに誰を置くか」という配置の組み方まで基準で縛られているため、採用・シフト作成の難易度が上がるのです。

押さえておきたい基準・考え方:ユニットリーダーと配置数

ユニット型特養の運営に関する基準(基準省令第47条第2項)では、継続性を重視したサービス提供の観点から、次の3点が職員配置として明文化されています。

項目基準の内容根拠
ユニットリーダーユニットごとに常勤の職員を1人配置基準省令第47条第2項第3号
日中の配置ユニットごとに常時1人以上の介護職員又は看護職員基準省令第47条第2項第1号
夜間・深夜の配置2ユニットごとに1人以上の介護職員又は看護職員基準省令第47条第2項第2号

ここで誤解しやすいのが、「ユニットリーダーは、施設全体で必要な介護・看護職員数(3:1基準で算出した人数)に上乗せして別枠で配置しなければならない」という理解です。条文上、ユニットリーダーは介護職員又は看護職員の中から各ユニットの常勤職員として置く役割であり、全体の必要数の枠内で「誰にその役割を担わせるか」という配置の組み方の問題です。全体の人数が基準を満たしていても、常勤のリーダーを明確に置いていない、あるいは1人が複数ユニットの名目上のリーダーを兼ねている状態は、基準第47条の要件を満たさない可能性があります。

なお、都道府県・市区町村は、ユニットケアを担う職員(管理者・ユニットリーダー)向けの研修を実施しており、ユニットリーダー研修の受講が実地指導等で重視されてきた経緯があります。基準省令第47条自体はユニットリーダーの「配置」を求めるものであり、研修修了を直接の条文要件として明文化しているわけではないため、研修の受講状況が指定権者の運用上どこまで求められるかは自治体ごとの実地指導基準によって扱いが異なり得ます。詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

計算例:入所者54人・6ユニットの特養で考える

数字を当てはめると、全体像とユニットごとの配置の関係がつかみやすくなります。1ユニット9人×6ユニット=入所者54人のユニット型特養を例にします。

  • 施設全体の必要数(3:1基準):54 ÷ 3 = 18人以上の介護・看護職員(常勤換算)が必要
  • ユニットリーダー:6ユニットのため、常勤のユニットリーダーが6人必要
  • 日中の配置:6ユニット × 1人以上 = 日中は常時6人以上の配置が必要
  • 夜間・深夜の配置:6ユニット ÷ 2 = 3人以上の配置が必要

ここで重要なのは、「18人(全体の必要数)」と「6人(ユニットリーダー)」「6人(日中の配置)」は別々に積み上げる数字ではなく、18人という枠の中で日中・夜間の各時間帯にどう配置するか、そのうち誰を各ユニットの常勤リーダーとするか、という組み立て方の問題である点です。全体の常勤換算数が18人を満たしていても、6ユニット分の常勤リーダーを明確に配置できていなければ、ユニット型特有の基準は別に満たしていないことになります。

自施設の入所者数・ユニット数を入れて必要人数を具体的に確認したい方は、人員配置基準チェッカーで無料で試算できます。

現場でよくある悩み・対応のヒント

ユニットリーダーの「人材」が育っていない

ユニット数が多い施設ほど、常勤かつリーダーを任せられる経験者を6人・8人とそろえるのは簡単ではありません。採用が追いつかないあいだ、実質的には1人の主任格の職員が複数ユニットを巡回してリーダー業務を代行しているケースも見られますが、基準上は各ユニットに常勤のリーダーを置くことが求められているため、恒常的な兼務体制は改善の対象になり得ます。育成候補者を決めて研修受講の計画を立て、暫定的な体制と改善スケジュールを文書で残しておくと、実地指導の際にも状況を説明しやすくなります。

夜間、2ユニットを1人でカバーする体制の負荷

夜間・深夜は2ユニットごとに1人以上という基準は、裏を返せば1人の職員が隣接する2ユニットを同時にカバーする体制が標準として想定されているということでもあります。コールが集中した場合の対応順や、巡回ルートをあらかじめ職員間で共有しておくことが、基準を満たしているかどうかとは別の、安全面での現場対応として重要になります。

研修の受講機会が限られている

ユニットリーダー研修は都道府県や関連団体が年数回程度の枠で実施していることが多く、希望してもすぐに受講できるとは限りません。新しくユニットリーダーを任せたい職員がいる場合は、早めに自治体の募集案内を確認し、計画的に受講枠を確保することが現実的な対応になります。

よくある疑問・誤解しやすいポイント

ユニットリーダーをめぐっては、「名目上の配置で足りる」と誤解されがちですが、基準省令は常勤の職員を各ユニットに置くことを求めており、非常勤職員や他ユニット専従の職員を名目だけ届け出るような運用は想定されていません。また、「夜勤者が確保できていればユニットリーダーの要件も自動的に満たされる」というわけでもありません。日中の配置・夜間の配置・常勤ユニットリーダーの配置は、それぞれ別個の要件として基準省令に定められている点を押さえておく必要があります。

まずは自施設の体制を無料の人員配置基準チェッカーで確認してみましょう。ユニット数や入所者数を入力するだけで、おおまかな必要人数の目安を把握できます。

まとめ

  • ユニット型特養には、施設全体の3:1基準(基準省令第2条)に加えて、ユニットごとの配置とユニットリーダーという上乗せの基準(基準省令第47条)がある
  • ユニットリーダーは各ユニットに常勤で1人配置する必要があり、全体の必要人数の枠内での配置の組み方として考える
  • 日中は各ユニット常時1人以上、夜間・深夜は2ユニットごとに1人以上の介護・看護職員配置が必要
  • ユニットリーダー研修の扱いなど運用面の詳細は自治体によって異なり得るため、指定権者や社会保険労務士への確認を習慣にする
  • 基準を満たせない状態が続くと、介護報酬の算定上不利益が生じ得るため、人材育成計画を早めに立てることが重要

よくある質問

Q. ユニットリーダーは介護職員・看護職員とは別に追加で配置する必要がありますか?

いいえ。ユニットリーダーは、施設全体で必要な介護・看護職員数(3:1基準で算出した人数)の中から、各ユニットの常勤リーダーとして配置する職員です。全体の必要数に上乗せして別枠で確保する人数ではありません。

Q. 1人のユニットリーダーが複数ユニットを兼務することはできますか?

基準省令第47条第2項第3号は「ユニットごとに、常勤のユニットリーダーを配置すること」と定めており、恒常的に1人が複数ユニットの常勤リーダーを兼ねる体制は、この要件を満たさない可能性があります。人員不足で一時的にそうした体制になっている場合は、早めに自治体(指定権者)に相談することをおすすめします。

Q. ユニットリーダー研修を終えていないとすぐに基準違反になりますか?

基準省令第47条自体は「常勤のユニットリーダーを配置すること」を求めるもので、研修修了を条文上の要件として明文化してはいません。ただし研修の受講状況は実地指導等で確認・指導の対象になり得るため、取り扱いの詳細は事業所所在地の自治体や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

Q. ユニットの人数が9人や11人でもよいのですか?

基準省令第40条では、ユニットは原則としておおむね10人程度とし、15人を超えないものとされています。9人・11人といった構成自体は、この範囲内であれば基準に反するものではありません。

Q. 従来型とユニット型が併設されている場合、人員配置はどう考えればよいですか?

基準省令上、従来型とユニット型を併設する場合の介護職員・看護職員は、原則としてそれぞれの型に専従する形が想定されています。併設施設の人員配置を具体的に検討する際は、人員配置基準チェッカーで施設全体の必要人数を確認したうえで、自治体の窓口にも相談することをおすすめします。

この記事の内容を実際に診断してみる

人員配置基準チェッカーで確認する →

参考にした一次情報

関連記事