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老健の夜勤の人員基準|夜勤職員の最低人数と利用者数による考え方

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

この記事の結論

老健(従来型)の夜勤は、入所者と短期入所利用者の合計が40人以下で常時・緊急時の連絡体制を整えていれば1人以上、それ以外は2人以上の看護・介護職員が必要です(平成12年厚生省告示第29号)。ユニット型老健はユニットごとに1人以上で、特養の「2ユニットに1人」とは基準が異なります。

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老健の夜勤、「特養と同じ基準」だと思い込んでいませんか

介護老人保健施設(老健)で夜勤シフトを組む担当者から、「夜勤は何人いれば基準を満たすのか」「特養と同じ考え方で大丈夫なのか」という相談をよく受けます。老健は昼間の人員配置基準こそ特養と似ていますが、夜間の最低人数を定める根拠は特養とは別の条文で、適用される数字の区切り方も異なります。この記事では、老健の夜勤人員基準を一次情報にもとづいて整理します。

老健の夜勤配置基準が特養と異なる理由

老健の人員配置については、「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(平成11年厚生省令第40号)第2条第1項第3号が、看護職員・介護職員の総数を「常勤換算方法で、入所者の数が3又はその端数を増すごとに1以上」と定めています(看護職員はこの総数のおおむね7分の2、介護職員はおおむね7分の5が標準)。この3:1基準は昼夜を通じた24時間分の総人員を管理する考え方で、夜勤帯に何人いるべきかはこの条文には書かれていません。

夜間に何人配置すべきかは、この省令とは別に、「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」(平成12年厚生省告示第29号)という告示で定められています。この告示は特養・老健・短期入所など複数のサービスをまとめて規定していますが、サービスの種類ごとに適用される号が違い、区切り方の数字も違います。特養(介護福祉施設サービス)が入所者数25人・60人・80人・100人という段階で夜勤人数を増やしていくのに対し、老健(介護保健施設サービス)は40人・41人という2段階の区切りしかありません。「特養で聞いた数字をそのまま老健に当てはめる」のは誤りやすい落とし穴です。

老健の夜勤最低人数と夜勤職員配置加算の基準

厚生労働省の告示本文では、介護保健施設サービス費(Ⅰ)・(Ⅳ)を算定する老健(従来型)の夜勤基準は、短期入所療養介護費(Ⅰ)・(Ⅳ)の規定を準用する形で定められています。整理すると次のとおりです。

利用者等の数(入所者+短期入所利用者)夜勤職員の最低基準(下回ると報酬が減算される)夜勤職員配置加算の算定要件
40人以下常時・緊急時の連絡体制を整備していれば1人以上。整備していなければ2人以上利用者等20人(またその端数)ごとに1人以上、かつ最低基準の人数を超えて配置
41人以上2人以上(見守り機器等の活用など一定の要件を満たす場合は1.6人以上)利用者等20人(またその端数)ごとに1人以上、かつ2人を超えて配置

ユニット型老健(ユニット型介護保健施設サービス費)は考え方が変わり、「ユニットごとに夜勤を行う看護職員又は介護職員の数が1以上」であることが基準です。特養のユニット型が「2ユニットごとに1人以上」であるのに対し、老健のユニット型は「1ユニットに1人以上」が原則という点は、複合施設を運営する法人ほど混同しやすいポイントです。

夜勤職員の員数は「その晩に何人いたか」ではなく、暦月単位の実績で判定します。算定方法は特養などと共通の通知(老企第40号)を準用しており、見守り機器等を活用する場合の取扱いを示した厚生労働省の通知でも、1日を単位として要件を満たすことが前提とされています。

計算例でみる昼間基準と夜勤基準の違い

短期入所の併設がない入所者90人の老健を例にします。昼間の3:1基準では、看護・介護職員の常勤換算数は90 ÷ 3 = 30人以上が必要です(看護職員はおおむね30 × 2/7 ≒ 9人、介護職員はおおむね30 × 5/7 ≒ 21人が標準)。この30人は、常勤職員24人と非常勤職員の週実働時間合計240時間(週所定労働時間40時間の施設)から、常勤換算数 = 24 + 240 ÷ 40 = 24 + 6 = 30人、という形で組み立てることができます。

一方、90人は41人以上にあたるため、夜勤帯には別途2人以上の看護・介護職員を配置する必要があります。昼間の30人という総数を満たしていても、夜間の配置が1人しかいなければ夜勤基準には違反してしまう、という点が老健の運営で混同されやすい部分です。自施設の常勤換算数が3:1基準を満たしているか不安な方は、人員配置基準チェッカーで入所者数と職員構成を入力して確認してみてください。

現場でよくある悩みと対応のヒント

「緊急時の連絡体制」をどう整えるか

40人以下の老健で夜勤1人配置を選ぶ場合、「常時、緊急時の連絡体制を整備している」ことが前提になります。具体的には、オンコール医師・看護職員への連絡手段や、近隣医療機関との連携体制を文書化し、実際に機能することを示せる状態にしておく必要があります。この「体制が整っているかどうか」の判断は指定権者(都道府県・市町村)の裁量が働く部分でもあるため、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

非常勤職員を夜勤カウントに入れてよいか

夜勤の最低基準(1人・2人)は常勤換算ではなく実際にその時間帯に勤務している人数で数えます。非常勤・パート職員でも、夜勤時間帯に実際に勤務していればカウントに含められます。一方、昼間の3:1基準は常勤換算方法で評価するため、同じ「職員数」でも数え方が違う、という点を混同しないよう注意してください。

見守り機器を導入するときの負担

41人以上の施設で夜勤基準を1.6人以上まで緩和するには、見守り機器等を一定割合以上導入し、安全体制やケアの質を検討する委員会の設置、少なくとも3か月以上の試行、都道府県等への届出といった手続きが必要です。人手不足の解消策として有効ですが、導入初期は委員会運営や記録作成の事務負担が増える点も踏まえて検討してください。

従来型とユニット型が併存する施設の計算

同一施設内に従来型とユニット型の老健が併存する場合、夜勤基準はそれぞれの区分ごとに別々に判定します。従来型部分は利用者等の合計数で判断し、ユニット型部分はユニット数で判断するため、合算して1つの基準で考えないようにしましょう。

よくある疑問・誤解しやすいポイント

「老健も特養と同じ25人・60人・80人の区切りだろう」という思い込みは誤解です。老健の夜勤最低基準は40人・41人の2段階だけで、特養のような細かい段階は設けられていません。

「夜勤職員配置加算の20人ごとの基準=最低限クリアすべき基準」という誤解もよく見られます。20人ごとに1人以上という数字は、最低基準を上回る手厚い配置を評価する加算の要件であり、これを満たさなくても事業はできます。最低基準(40人以下で1人、それ以外で2人)と加算要件は別物として扱ってください。

「ユニット型は特養と同じ2ユニットに1人」という誤解も要注意です。老健のユニット型は1ユニットに1人以上が原則で、特養とは基準の作りが異なります。

まとめ

  • 老健の夜勤最低人数は、昼間の3:1基準(平成11年厚生省令第40号第2条第1項第3号)とは別の告示(平成12年厚生省告示第29号)で定められている
  • 従来型老健:利用者等(入所者+短期入所利用者)が40人以下で緊急時連絡体制を整備していれば1人以上、それ以外は2人以上
  • ユニット型老健:ユニットごとに1人以上(特養の「2ユニットに1人」とは異なる)
  • 夜勤職員配置加算の算定要件(20人ごとに1人以上かつ最低基準を超える配置)は、最低基準とは別の「加算」の話
  • 見守り機器等の活用で夜勤基準を1.6人以上まで緩和できるが、委員会設置・試行・届出などの手続きが必要
  • 連絡体制の整備状況の判断や細かい運用は自治体(指定権者)や社会保険労務士に確認する

2026年時点の基準に基づく内容ですが、介護報酬改定はおおむね3年に一度行われ、次回は2027年度に見込まれています。制度が変わる可能性があるため、最新の公式発表も確認してください。

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よくある質問

Q. 老健の夜勤職員は何人必要ですか。

従来型老健の場合、入所者と短期入所利用者の合計が40人以下で常時・緊急時の連絡体制を整備していれば1人以上、それ以外は2人以上が最低基準です(平成12年厚生省告示第29号)。ユニット型老健はユニットごとに1人以上が必要です。

Q. 老健と特養の夜勤基準はどう違いますか。

同じ告示(平成12年厚生省告示第29号)が根拠ですが、老健は利用者等40人・41人の2段階で判定するのに対し、特養は25人・60人・80人・100人という、より細かい段階で夜勤人数が増えていきます。ユニット型も、老健は1ユニットに1人以上、特養は2ユニットに1人以上と基準が異なります。同じ記事や資料でも施設種別を混同している場合があるため、適用条文を確認してから判断してください。

Q. ユニット型老健の夜勤基準はどうなりますか。

ユニットごとに、夜勤を行う看護職員又は介護職員の数が1人以上必要です。従来型のように利用者等の合計人数で2段階に分かれる形ではなく、ユニットの数そのものが基準になります。

Q. 見守り機器を導入すれば夜勤人数を減らせますか。

41人以上の老健では、見守り機器等を活用し、安全体制やケアの質を検討する委員会の設置・一定期間の試行・都道府県等への届出といった要件を満たすことで、夜勤基準を2人以上から1.6人以上まで緩和できます。40人以下の施設が緊急時連絡体制により1人以上とする場合とは別の緩和措置なので、適用条件を自治体に確認することをお勧めします。

Q. 夜勤基準を満たさないとどうなりますか。

夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たさない状態が続くと、介護報酬の所定単位数が減算される対象になります。1日だけの欠員で直ちに違反となるわけではありませんが、暦月単位の実績で判定されるため、欠員が続く場合は早めに体制を見直す必要があります。具体的な減算率や判定方法は、事業所所在地の自治体(指定権者)にご確認ください。

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参考にした一次情報

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