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人員配置基準

常勤換算の「常勤」とは?週所定労働時間の決め方と常勤専従・常勤兼務の違い

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

この記事の結論

人員配置基準上の「常勤」は、事業所が定めた常勤職員の週所定労働時間(32時間を下回る場合は32時間が基準)に達しているかどうかで判定します。常勤専従は当該サービス以外の職務に従事しない者、常勤兼務は常勤でも勤務時間の一部を他業務に充てる者を指し、兼務分は常勤換算数の計算から除きます(老企第25号)。

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常勤換算の「常勤」、実は職場の日常語とは違う基準で決まっている

「うちの職員は全員フルタイムだから常勤で間違いない」——そう思い込んでいたら、実地指導で「就業規則上の所定労働時間が32時間を下回っているので常勤扱いできない」と指摘された、という話を耳にすることがあります。人員配置基準の「常勤」は、日常語の「正社員」「フルタイム」とは別に、制度上の定義があります。この記事では、常勤換算の計算に使う「常勤」の決め方と、混同しやすい常勤専従・常勤兼務の違いを整理します。

制度上の「常勤」はどう定義されているか

結論から言うと、「常勤」に該当するかどうかは、労働時間の絶対値(例えば週40時間以上)で決まるのではなく、その事業所が就業規則等で定めた常勤職員の週所定労働時間に達しているかどうかで判定します。この考え方は、指定居宅サービス等の運営基準を解説した通知「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号)に示されており、常勤とは「当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していること」とされています(厚生労働省・老企第25号)。つまり事業所が独自に週30時間を常勤の所定労働時間と定めていたとしても、常勤換算の計算上は「32時間」を下限として扱う必要があるということです。

同じ通知では「常勤換算方法」についても、「当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法」と定義されています(同上)。指定居宅サービス基準(平成11年厚生省令第37号)第2条第8号にも同様の定義が置かれており、この考え方は訪問介護・通所介護・特養・老健など、サービス種別を問わず共通の土台になっています(e-Gov法令検索・指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)。

施設種別で変わるのは「所定労働時間」であって定義そのものではない

特養(介護老人福祉施設)でもデイサービス(通所介護)でも、「常勤」の判定ロジック自体は同じです。変わるのは、事業所ごとに就業規則で定めている週所定労働時間の長さです。たとえば特養で常勤の週所定労働時間を40時間と定めている法人もあれば、38時間45分と定めている法人もあります。デイサービスの併設施設で本体施設と所定労働時間をそろえているケースもあります。この「事業所ごとの所定労働時間」を常勤換算の分母に使うため、同じ週32時間勤務の非常勤職員でも、所定労働時間40時間の事業所では0.8人分、所定労働時間32時間の事業所では1.0人分(=常勤扱い)とカウントされることになり、事業所間で単純比較できない点に注意が必要です。

実際の計算式を確認しておきます。常勤換算数は「常勤職員数+非常勤職員の週勤務時間合計÷常勤の週所定労働時間」で求め、小数点第2位以下は切り捨てます。たとえば週所定労働時間40時間の特養で、常勤職員3人に加えて、週20時間勤務の非常勤職員2人と週15時間勤務の非常勤職員1人がいる場合、非常勤分の合計は週55時間になります。これを40時間で割ると1.375人分となり、常勤3人と合わせて常勤換算数は4.375人、小数点第2位以下を切り捨てて4.3人と算出します。

必要人数の側にも触れておきます。特養・介護老人保健施設の介護・看護職員は、常勤換算数で「入所者数を3で割った数(端数切り上げ)」以上を配置することが指定基準で定められています(3対1配置。指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条第1項第3号イ)。入所者65人の特養であれば、65÷3=21.67となり、端数を切り上げて常勤換算22人以上の介護・看護職員が必要です。自施設の入所者数・職員構成を入力して、この必要人数と実際の常勤換算数を突き合わせてみたい方は、常勤換算計算ツールで試算してみると、どの区分で不足しているかが具体的に見えてきます。

常勤専従・常勤兼務・非常勤専従・非常勤兼務の違い

「常勤」であることと「専従」であることは別の軸です。老企第25号は「専ら従事する」ことについて、「原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないこと」と定義しています(厚生労働省・老企第25号)。この「常勤かどうか」と「専従かどうか」を組み合わせると、勤務形態は次の4通りに整理できます。

勤務形態定義のポイント常勤換算数への算入の仕方
常勤専従常勤の所定労働時間を満たし、サービス提供時間帯は当該サービス以外の職務に従事しない1人分としてそのまま算入する
常勤兼務常勤の所定労働時間を満たすが、勤務時間の一部を他の事業所・他の職務に充てている当該サービスに従事した時間分のみを勤務延時間数として算入する
非常勤専従所定労働時間には満たないが、勤務している時間帯は当該サービス以外の職務に従事しない実際の勤務延時間数を常勤の所定労働時間で除して換算する
非常勤兼務所定労働時間に満たず、かつ他の職務とも兼務している当該サービスに従事した時間のみを勤務延時間数として計上し換算する

現場で特に見落とされやすいのが常勤兼務です。「常勤職員だから1人分として数えている」という運用は、その職員が生活相談員と介護職員を兼務している場合や、複数の事業所を掛け持ちしている場合には誤りになり得ます。兼務している時間は当該サービスの勤務延時間数から除いた上で常勤換算する必要があるためです。管理者・サービス提供責任者のように「常勤専従」が要件になっている職種では、兼務によってそもそも要件を満たせなくなるケースもあるため、勤務実態と勤務表の記載が一致しているかを定期的に確認することが欠かせません。

自施設の「常勤」を確認する手順

自施設の常勤換算数が正しいかを確認するには、次の順番で見ていくと整理しやすくなります。まず就業規則・雇用契約書を確認し、事業所で定めている常勤職員の週所定労働時間が何時間かを特定します。次に、この時間が32時間を下回っていないかを確認し、下回っている場合は常勤換算の計算上32時間を分母として使う点を踏まえます。続いて、各職員の勤務実態(勤務表上の従事時間)を洗い出し、兼務がある職員については当該サービスに従事した時間だけを抽出します。最後に、常勤換算数=常勤職員数+非常勤職員の週勤務時間合計÷常勤の週所定労働時間という式に当てはめて計算し、施設種別ごとの必要人数と比較します。人員配置基準チェッカーを使うと、この一連の突き合わせを入所者数・職種別の入力だけで確認できるため、まずは無料の人員配置基準チェッカーで確認してみましょう。

誤解しやすいポイント

週所定労働時間を「就業規則に書いてある数字」だと思い込み、実態の勤務時間と乖離していても気づかないケースがあります。勤務表上の従事時間が継続的に所定労働時間を下回っている職員は、実態として非常勤扱いになる可能性があるため、勤務表と就業規則の整合を確認しておく必要があります。また、育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度を利用する職員については、事業所が常勤の所定労働時間を30時間と定めている場合に限り、週30時間の勤務でも常勤として扱ってよいとする取り扱いが平成27年度介護報酬改定に関するQ&Aで示されています(厚生労働省・平成27年度介護報酬改定に関するQ&A)。この特例は個別の要件・対象範囲が細かく規定されているため、自施設で適用できるかどうかは、事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士に確認することをおすすめします。

まとめ

  • 「常勤」は日常語のフルタイムとは異なり、事業所が定めた常勤職員の週所定労働時間(32時間未満なら32時間が基準)に達しているかで判定する
  • 常勤換算数=常勤職員数+非常勤職員の週勤務時間合計÷常勤の週所定労働時間で、小数点第2位以下は切り捨てる
  • 「常勤かどうか」と「専従かどうか」は別の軸で、常勤兼務の職員は当該サービスに従事した時間分のみを常勤換算数に算入する
  • 育児・介護休業法の短時間勤務制度の特例など、判断に迷う個別ケースは自治体や社会保険労務士に確認すると確実
  • 数字を当てはめて実際に不足の有無を確認したい場合は、人員配置基準チェッカー常勤換算計算ツールを使うと手早く把握できる

よくある質問

Q. 週30時間勤務の職員は常勤になりますか?

事業所が常勤職員の週所定労働時間を30時間と定めている場合は常勤に該当しますが、40時間と定めている事業所では常勤には該当しません。常勤かどうかは絶対的な時間数ではなく、その事業所が定めた所定労働時間との比較で決まります。ただし常勤換算の計算上の分母には32時間の下限があるため、事業所の定めが32時間未満でも計算上は32時間を使う点に注意してください(厚生労働省・老企第25号)。

Q. 常勤専従と常勤兼務は、どちらも常勤換算数に1人分として数えられますか?

いいえ。常勤専従はそのまま1人分として算入できますが、常勤兼務は当該サービスに従事した時間のみを勤務延時間数として抽出し、常勤の週所定労働時間で除いて換算します。常勤だからといって自動的に1人分になるわけではない点が誤解されやすいポイントです。

Q. 管理者が他の職務と兼務している場合、常勤換算にどう影響しますか?

管理者を含め、複数の職務を兼務している職員は、当該サービスに従事した時間分のみを常勤換算数の計算に算入します。管理者要件で「常勤専従」が求められる職種の場合は、兼務の内容によってはそもそも要件を満たせなくなることもあるため、職務分掌と勤務実態を照らし合わせて確認することが必要です。

Q. 週所定労働時間は法人全体で統一しなければいけませんか?

制度上、週所定労働時間を法人全体で統一する義務はなく、事業所ごとに就業規則で定めることができます。ただし常勤換算の計算では、その事業所自身が定めた週所定労働時間を分母に使うため、複数事業所を運営する法人では、事業所ごとに分母が異なっていないかを確認しておくと計算ミスを防げます。

Q. 育児・介護休業法の短時間勤務制度を使う職員は必ず常勤扱いになりますか?

一律に常勤扱いになるわけではありません。事業所が常勤の所定労働時間を30時間と定めているなど、一定の条件を満たす場合に週30時間勤務でも常勤として扱ってよいとする取り扱いが示されています(平成27年度介護報酬改定に関するQ&A)。個別の適用可否は制度の詳細な要件によって変わるため、事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士への確認をおすすめします。なお、2026年時点の基準に基づく内容であり、次回の介護報酬改定は2027年度に見込まれているため、最新情報は公式発表で確認してください。

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