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人員配置基準

介護施設の一人夜勤は違法?夜勤人数のルールを労働基準法と配置基準で整理

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

この記事の結論

一人夜勤は一律違法ではなく、施設種別・入所者数ごとの夜勤職員配置基準(指定基準省令・厚生労働大臣告示)を満たしていれば適法です。特養の従来型なら入所者25人以下で1人以上、グループホームは1ユニット(5〜9人)につき1人以上が原則です。

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介護施設の一人夜勤、違法になるかは「施設の種類」と「入所者数」で決まる

「うちの施設は夜勤が1人体制だけど、これって法律違反なのでは」——採用がなかなか決まらず、慢性的な人手不足の中で夜勤シフトを組んでいると、こうした不安がふと頭をよぎることがあると思います。結論を先に言うと、一人夜勤そのものが一律に違法というわけではありません。施設の種類と入所者数によって「最低何人必要か」が変わり、そこを満たしているかどうかが分かれ目になります。

なぜ「一人夜勤=違法」と決めつけられないのか

介護施設の夜勤人数を直接規定しているのは、実は労働基準法ではなく、介護保険法に基づく「指定基準」(人員・設備・運営に関する基準を定めた省令)と、そこから委任された厚生労働大臣告示です。労働基準法は労働時間や休憩、深夜割増賃金といった「働き方」のルールを定めていますが、「夜勤は何人以上配置しなければならないか」という人数そのものは指定基準の役割です。そのため「一人夜勤が違法かどうか」を考えるときは、まず自施設が該当する指定基準の夜勤配置基準を満たしているかを確認する必要があります。基準を満たしたうえでの一人夜勤は適法ですし、逆に基準を満たさない一人夜勤は運営基準違反として実地指導・監査で指摘される対象になります。

施設種別ごとの夜勤最低人数

夜勤の最低人数は施設の種類によって次のように異なります。いずれも厚生労働省の指定基準・告示に基づく数字です(2026年時点の基準)。

施設種別夜勤の最低人数の考え方根拠
特別養護老人ホーム(従来型)入所者25人以下は1人以上、26〜60人は2人以上、61〜80人は3人以上、81〜100人は4人以上、101人以上は4人に25人(またはその端数)ごとに1人を加えた数以上厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(厚生省告示第29号)
特別養護老人ホーム(ユニット型)2ユニットごとに1人以上の介護職員又は看護職員指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第47条第2項第2号
介護老人保健施設原則2人以上。ただし利用者40人以下かつ常時緊急連絡体制を整備している場合は1人以上でも可。見守り機器等の活用要件を満たせば1.6人以上まで緩和できる区分もある厚生省告示第29号
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)共同生活住居(1ユニット5〜9人)ごとに1人以上。ただし3ユニットすべてが同一階に隣接し安全対策が講じられている場合は、施設全体で2人以上に緩和できる指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第90条
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム等)入所者数にかかわらず「常に1人以上」の介護職員が確保されていればよく、規模による上乗せの計算式は設けられていない指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第175条第1項第2号ハ

見て分かるとおり、同じ「一人夜勤」でも、特養の従来型で入所者25人以下なら基準どおりですが、入所者26人の特養で一人夜勤にしてしまうと基準割れになります。逆にグループホームは1ユニットなら1人で足りるため、多くの小規模施設で一人夜勤が標準的な体制になっています。

なお、夜勤の人数とは別に、日中の基本的な人員配置(いわゆる3対1配置)も押さえておく必要があります。特養・老健の介護・看護職員は、常勤換算数が入所者数を3で割った数(端数切り上げ)以上必要というのが基本の考え方です。たとえば入所者80人の特養であれば、80 ÷ 3 = 26.67 となり、端数を切り上げて常勤換算27人以上の介護・看護職員が必要です。夜勤の人数基準はこの日中基準とは別枠で定められているため、日中の配置は足りていても夜勤側の基準を見落としているケースが少なくありません。自施設の入所定員や職種構成を入力するだけで日中・夜間それぞれの充足状況を確認したい場合は、人員配置基準チェッカーで試算してみると全体像が把握しやすくなります。

「一人夜勤」が労働基準法上の問題になるケース

指定基準上は一人夜勤で問題がなくても、労働基準法の観点から注意が必要な場合があります。特に、夜勤の実態が「ほとんど仮眠・待機で、たまに巡視や急変対応をする程度」ではなく、通常の日勤とほぼ同じ密度で業務が続く場合です。労働基準法第41条第3号は「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」について労働時間・休憩・休日の規定を適用除外としています(労働基準法(昭和22年法律第49号)第41条)。逆に言えば、この許可(いわゆる宿直・断続的労働の許可)を労働基準監督署から得ていないのに、夜勤を「宿直」扱いにして休憩や深夜割増賃金の計算を省略してしまうと、それは人員配置基準とは別に労働基準法違反になり得ます。夜勤の実態が通常勤務に近いのであれば、許可の有無にかかわらず、深夜割増賃金や休憩時間の確保など通常の労働時間管理に沿った運用が必要です。

自施設が基準を満たしているか確認する手順

一人夜勤の適法性に不安がある場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

まず、自施設がどの指定基準の対象になるサービス類型か(特養・老健・グループホーム・特定施設など)を特定します。次に、直近1年程度の入所者数の平均値を確認します。夜勤の必要人数は前年度の平均利用者数で計算するのが基準の考え方なので、繁忙期だけの人数で判断しないことが重要です。そのうえで、上の表の計算式に当てはめて、現在の夜勤体制が最低人数を満たしているかを確かめます。あわせて、老健の見守り機器要件やグループホームの3ユニット特例のように、緩和規定を使っているのであれば、その適用要件(機器の設置状況、安全対策の実施状況など)を書面で確認できる状態にしておくと、実地指導の際にも説明しやすくなります。最後に、夜勤の実態が「断続的労働」といえるか、労働基準監督署の宿日直許可が必要な働き方になっていないかも合わせてチェックしておくと安心です。個々の施設の設備・体制によって細部の判断が分かれる部分もあるため、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

まずは無料の人員配置基準チェッカーで、自施設の入所者数・職員体制を入力し、夜勤も含めた基準充足の目安を確認してみましょう。

誤解しやすいポイント

「夜勤は必ず2人以上でなければならない」という思い込みは、現場でもよく見られる誤解です。実際には施設種別ごとに最低人数が異なり、特養の従来型で入所者25人以下、あるいはグループホームの1ユニットのように、1人で基準を満たすケースは珍しくありません。

もう一つ多いのが、「見守り機器を導入すれば人数基準そのものがなくなる」という誤解です。老健の1.6人以上への緩和のように、見守り機器等の活用によって基準が緩和される区分はありますが、これは要件を満たした場合の代替措置であり、機器を置くだけで自動的に夜勤者を減らせるわけではありません。委員会の設置や運用体制の整備など、告示に定められた条件をすべて満たす必要があります。

また、「入所者が少ない日は基準を下回っても構わない」という考え方も誤りです。夜勤の必要人数は前年度の平均利用者数をもとに算定するのが原則で、当日の入所者数が一時的に少ないからといって、その日だけ夜勤者を減らしてよいわけではありません。

まとめ

  • 一人夜勤そのものは一律に違法ではなく、施設種別・入所者数ごとの夜勤職員配置基準を満たしているかどうかで判断される
  • 特養(従来型)は入所者25人以下、グループホームは1ユニット(5〜9人)であれば、1人夜勤でも基準上は問題ない
  • 特養(ユニット型)は2ユニットごとに1人以上、老健は原則2人以上(要件を満たせば1人または1.6人まで緩和可)など、施設によって計算式が異なる
  • 指定基準を満たしていても、夜勤の実態が通常勤務に近い場合は労働基準法上の労働時間管理や宿日直許可の要否を別途確認する必要がある
  • 判断に迷う場合は、事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士に確認するのが確実

よくある質問

Q. 特養で夜勤者が1人だけの日がありますが、それだけで違法になりますか?

入所者数が25人以下の従来型特養であれば、厚生省告示第29号の基準上、夜勤は1人以上で足りるため、それだけで違法とはなりません。入所者が26人以上になると2人以上が必要になるため、入所者数の推移によって基準が変わる点に注意が必要です。

Q. グループホームは1ユニットに何人の夜勤者が必要ですか?

原則として共同生活住居(1ユニット)ごとに1人以上です。3ユニットすべてが同一階に隣接し、安全対策が講じられているなど一定の要件を満たす場合に限り、施設全体で2人以上に緩和できる特例があります(指定地域密着型サービス基準第90条)。

Q. 夜勤者が急病になった場合の体制も基準に含まれますか?

老健の1人夜勤の緩和要件のように、施設によっては「常時、緊急時の連絡体制を整備していること」が基準そのものの条件になっている場合があります。基準上の人数を満たしていても、実際の急変時にどう対応するかは、オンコール体制や協力医療機関との連携をあらかじめ整えておくことが望まれます。

Q. 一人夜勤の勤務時間が長く、休憩も取れていない場合はどうすればよいですか?

指定基準上の人数を満たしていても、夜勤の実態が通常勤務に近く休憩が確保できていない場合は、労働基準法上の労働時間・休憩の規定が適用される可能性があります。宿直として労働基準監督署の許可を受けているか、深夜割増賃金や休憩時間が適切に処理されているかを、労務管理の観点から見直す必要があります。

Q. 夜勤職員配置加算を算定すれば、基準の人数より多く配置しなければなりませんか?

夜勤職員配置加算は、基準上の最低人数を上回る手厚い夜勤体制をとった場合に算定できる加算であり、算定するかどうかは事業所の任意です。基準の最低人数を満たしていれば加算を算定しなくても運営基準違反にはなりませんが、算定要件の詳細は最新の告示・通知で確認することをおすすめします。

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