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介護報酬・加算

介護職員等処遇改善加算の職員数の数え方|常勤換算と対象職種の範囲

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

この記事の結論

処遇改善加算の職員数は「常勤換算方法」(勤務延時間数を常勤が勤務すべき時間数で除する方法、基準省令第2条第8号)で数え、配分対象は介護職員だけでなく看護師・生活相談員・管理栄養士・事務職員等を含む全職種に広げられます。令和8年度の期中改定では対象がさらに「介護従事者」へ拡大されました。

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「処遇改善加算の計画書に職員数を書こうとしたら、パート職員をどう数えればいいのか分からなくなった」「うちの生活相談員や事務員は配分の対象に入るのか」——処遇改善加算の実務でこう迷う運営者・事務担当者は少なくありません。この記事では、令和8年度の制度改正も踏まえて、職員数の数え方(常勤換算)と対象職種の範囲を整理します。

処遇改善加算の「職員数」の数え方、何が特殊なのか

人員配置基準(3対1など)における常勤換算は「入所者数に対して必要な人数を満たしているか」を確認するための計算ですが、処遇改善加算における常勤換算は性格が異なります。こちらは「賃金改善の対象になる職員の勤務実態を、兼務や非常勤の按分計算に使う」ための物差しです。目的が違うため、同じ「常勤換算」という言葉でも使う場面を混同しないことが大切です。

特に兼務が多い施設でつまずきやすいのが、同一法人内で介護保険サービスと障害福祉サービスの両方を実施しており、職員がどちらにも従事しているケースです。介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)の問2-7では、こうした兼務職員の賃金総額について「原則として常勤換算方法により計算し、按分し計算することを想定している」とされ、計算が困難な場合は実際の収入額で判断しても差し支えないともされています。

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押さえておきたい基準・対象職種の範囲

常勤換算方法そのものの定義は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第2条第8号に置かれています。「当該事業所の従業者の勤務延時間数を、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法」と定義されており、人員配置基準と処遇改善加算の按分計算のどちらでも、この考え方が土台になります。

対象職種の範囲については、同Q&Aの問2-1・問2-1-2が整理しています。処遇改善加算の事業所内配分は「介護職員、特に経験・技能のある介護職員への配分」を基本としつつ、事業所内での柔軟な配分を認めており、対象には介護職員以外の次のような全職種が含まれます。

制度段階対象の基本的な考え方配分できる主な職種
処遇改善加算創設時(令和6年6月〜)介護職員への配分が基本、柔軟な職種間配分も可医師・歯科医師・薬剤師・看護師・准看護師・理学療法士等・精神保健福祉士・介護支援専門員・生活相談員・管理栄養士・栄養士・歯科衛生士・調理員・事務職等
令和8年度期中改定後介護職員のみならず介護従事者を対象に幅広く賃上げを実施上記に加え、従来対象外だった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援等のサービスにも加算を新設

このほか、Q&Aでは次のような個別の論点も明示されています。

  • 賃金改善前の年収が440万円以上の職員も、令和6年度以降は対象に含めてよい(問2-2)
  • EPA介護福祉士候補者、介護職種の技能実習生、1号特定技能外国人も対象になる(問2-3)
  • 派遣労働者も、派遣元と協議のうえで対象に含められる(問2-4)
  • 法人本部で人事・総務等に従事し、対象事業所の業務を行っていない職員は対象に含められない(問2-8)

【計算例】常勤の所定労働時間が週40時間の特養で、常勤職員2人と、週30時間勤務のパート職員3人が処遇改善加算の賃金改善対象(介護職員+生活相談員等)になっているとします。パート3人の勤務延時間数は30×3=90時間/週、常勤換算数は2+90÷40=4.25人です。実務では小数点第2位以下を切り捨てるため、常勤換算4.2人として賃金総額の按分計算に用います。

現場でよくある悩み・対応のヒント

最も多い悩みは、兼務職員の按分計算の煩雑さです。日中は介護業務、夜間や特定の時間帯は生活相談員業務というように勤務実態が入り組んでいる職員ほど、常勤換算の分母(週所定労働時間)と分子(実際の勤務延時間数)をどう切り分けるかで事務負担が増えます。勤務表上で業務ごとの時間を明確に区分しておくと、後から計画書・実績報告書を作成する際の手戻りを減らせます。

もう一つ悩みの種になりやすいのが、「一部の職員だけに手厚く配分してよいのか」という点です。処遇改善加算の算定要件は事業所(法人)全体での賃金改善額が加算収入以上になることですが、職務内容や勤務実態に見合わない著しく偏った配分は認められません。経験・技能のある職員を重点的に処遇するのは制度の趣旨に沿いますが、他の職種をゼロに近い配分にするような運用は避ける必要があります。

派遣職員や業務委託・出向者が多い施設では、「誰が賃金改善の実務上の対象になるのか」の整理も悩みどころです。派遣労働者は派遣元と協議したうえで処遇改善加算を原資とする上乗せが派遣元の給与に反映されるよう調整する必要があり、社内だけで完結しない調整コストが発生します。個別の事情による判断が分かれやすい部分なので、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

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よくある誤解しやすいポイント

「処遇改善加算は介護職員にしか配分できない」という誤解が根強くありますが、実際には事業所内での柔軟な職種間配分が認められており、看護師・生活相談員・管理栄養士・事務職員なども対象に含められます。ただし、配分の基本は介護職員、特に経験・技能のある職員への重点配分とされている点は押さえておく必要があります。

「年収440万円を超える職員は対象にできない」という誤解も見られますが、これは旧・特定処遇改善加算時代の取扱いであり、令和6年度以降は年収440万円以上の職員も賃金改善の対象に含めることができます。

「常勤換算は人員配置基準のときと同じ計算だから、処遇改善加算では別途計算し直す必要はない」という誤解もあります。人員配置基準上の常勤換算と、処遇改善加算における賃金按分のための常勤換算は、計算の土台となる考え方は同じでも、集計する職員の範囲や目的が異なるため、処遇改善計画書の作成時にはあらためて対象職員の勤務実態を確認する必要があります。

まとめ

  • 処遇改善加算の職員数は「常勤換算方法」(勤務延時間数÷常勤が勤務すべき時間数、基準省令第2条第8号)で数える
  • 対象職種は介護職員が基本だが、看護師・生活相談員・管理栄養士・事務職員等の全職種に柔軟な配分が認められる
  • 令和8年度の期中改定で対象が「介護従事者」へ拡大し、訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援等にも加算が新設された
  • 年収440万円以上の職員、派遣労働者、EPA介護福祉士候補者、技能実習生も賃金改善の対象に含められる
  • 兼務職員は按分計算が煩雑になりやすく、勤務表での業務区分の明確化が実務上の鍵になる
  • 正確な算定可否・最新の取扱いは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください

よくある質問

Q. パート職員だけで処遇改善加算の対象職員の常勤換算数を計算できますか。

常勤換算数は「常勤職員数+非常勤職員の勤務延時間数÷常勤が勤務すべき時間数」で計算するため、パート職員だけでなく常勤職員の人数も含めて計算します。兼務職員がいる場合は、処遇改善加算の対象業務に従事した時間だけを分子に含める按分計算が必要です。

Q. 生活相談員や管理栄養士にも処遇改善加算を配分できますか。

できます。令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)の問2-1-2では、介護職員以外の全職種への柔軟な配分を認めており、生活相談員・管理栄養士・事務職員等もその対象として明示されています。

Q. 年収440万円以上の職員は処遇改善加算の対象から外さなければなりませんか。

外す必要はありません。旧・特定処遇改善加算時代は年収440万円以上の職員の扱いに制約がありましたが、令和6年度以降は年収440万円以上の職員も賃金改善の対象に含めることができます。

Q. 派遣職員や技能実習生も処遇改善加算の対象になりますか。

いずれも対象になり得ます。派遣労働者は派遣元と協議のうえで対象に含めることができ、EPAによる介護福祉士候補者や介護職種の技能実習生、1号特定技能外国人についても、日本人と同等以上の報酬を受ける契約上の要件があることから処遇改善加算の対象とされています。

Q. 令和8年度の改定で何が変わりましたか。

処遇改善加算の対象が「介護職員」から「介護従事者」へ拡大されたほか、生産性向上や協働化に取り組む事業者向けの上乗せ区分が新設され、従来は対象外だった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援等にも新たに加算が設けられました。詳しい適用時期や単位数は、自施設が算定するサービス種別ごとに厚生労働省の発表で確認することをおすすめします。

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