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介護報酬・加算

個別機能訓練加算の算定要件と機能訓練指導員の配置をわかりやすく解説

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

この記事の結論

特養の個別機能訓練加算は2026年時点で(I)12単位/日、(II)(III)各20単位/月(厚生省告示第21号)。(I)は機能訓練指導員1名以上を多職種と共同配置し個別計画を作成・実施すれば算定でき、(III)は口腔衛生管理加算(II)・栄養マネジメント強化加算の算定が前提です。

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「特養で個別機能訓練加算を取りたいが、(I)(II)(III)の違いがよく分からない」「機能訓練指導員を1人確保すれば加算が取れると思っていたら要件を満たせていなかった」——介護老人福祉施設(特養)の運営でこうした戸惑いを抱える方は少なくありません。この記事では特養における個別機能訓練加算の算定要件と機能訓練指導員の配置を、根拠となる基準とあわせて整理します。

特養における個別機能訓練加算、他のサービスの加算と何が違うのか

特養の個別機能訓練加算は(I)(II)(III)の3区分で、(II)(III)は(I)に上乗せして算定する仕組みになっています。通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算が(I)イ・ロ、(II)という区分なのに対し、特養は区分の切り口も単位数も異なるため、他サービスの情報をそのまま当てはめると誤解のもとになります。

もう一つ押さえておきたいのが、機能訓練指導員の配置は入所者の人数に連動しないという点です。指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条第1項では、介護職員及び看護職員の総数を「入所者の数が3又はその端数を増すごとに常勤換算方法で1以上」(いわゆる3対1)と定める一方、機能訓練指導員は同項第5号で「1以上」とされ、入所者数に応じて増員が必要な職種ではありません。つまり3対1の枠とは別に、機能訓練指導員という職種そのものを最低1名確保できているかどうかが出発点になります。

自施設の職員体制がこの基準を満たせているか確認したい方は、介護報酬・加算シミュレーターで個別機能訓練加算を含めた概算増収額を試算できます。

押さえておきたい基準・考え方

まず機能訓練指導員として届け出られる資格を確認します。指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(平成12年老企第43号)では、「訓練を行う能力を有すると認められる者」を理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員(看護師・准看護師)・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の資格を有する者と定めています。ただし、入所者の日常生活やレクリエーション、行事等を通じて行う機能訓練指導に限っては、施設の生活相談員又は介護職員が兼務しても差し支えないとされており、専門職の確保が難しい施設でも生活場面の訓練までは対応できる余地があります。

次に加算区分ごとの要件を整理します。単位数は指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)に定められています。

加算区分単位数主な要件(概要)
個別機能訓練加算(I)12単位/日機能訓練指導員を1名以上配置し、看護職員・介護職員・生活相談員等の多職種が共同で入所者ごとの個別機能訓練計画を作成、計画に基づき計画的に機能訓練を実施
個別機能訓練加算(II)20単位/月(I)を算定したうえで、LIFE(科学的介護情報システム)へ個別機能訓練計画等の情報を提出し、その内容を踏まえて計画を見直すPDCAサイクルを実施
個別機能訓練加算(III)20単位/月(II)の要件に加え、口腔衛生管理加算(II)及び栄養マネジメント強化加算をあわせて算定し、口腔・栄養の状態に関する情報を機能訓練指導員等の関係職種間で共有・計画に反映

(II)(III)は(I)を算定していることが前提の上乗せ構造で、(III)を単独で狙うことはできません。また各区分の細かな要件(LIFE提出の頻度や様式など)は改定のたびに見直されるため、最新の内容は厚生労働省の発表や自治体への確認が欠かせません。

【計算例】入所者80人の特養で(I)(II)(III)をすべて算定した場合の月額増収規模を試算してみます。単位/日の(I)は1日あたりの単位数・入所者数・1か月あたりの平均日数(30.4日)を掛け合わせて月額換算します。

12 × 80 × 30.4 = 29,184(単位/月)

単位/月の(II)(III)は入所者数を掛けるだけで月額になります。

20 × 2 × 80 = 3,200(単位/月)

合計すると29,184+3,200=32,384単位/月です。地域区分単価(その他地域10.00円/単位の場合)で円換算すると、月額およそ32万3,840円の増収規模になります。地域区分が異なれば単価も変わるため、自施設の入所者数・地域区分で試算したい方は介護報酬・加算シミュレーターをお試しください。

現場でよくある悩み・対応のヒント

多くの特養で最初に直面するのが、機能訓練指導員をどう確保するかという問題です。理学療法士・作業療法士は訪問リハビリや医療機関との人材の取り合いになりやすく、看護職員を機能訓練指導員として兼務させる施設も少なくありません。この場合、看護業務としての勤務時間と機能訓練指導員としての勤務時間が実態として区別できているかが問われます。兼務そのものは基準上問題ありませんが、どちらの業務にどれだけの時間を充てたかを記録に残しておくことが望ましいでしょう。

(I)は取れているが(II)(III)まで手が回らない、という悩みもよく聞かれます。(II)以降はLIFEへの定期的な情報提出と、その結果を踏まえた計画の見直しという運用が発生するため、機能訓練指導員が1人だけの体制では記録・入力の負担が大きくなりがちです。介護記録ソフトとの連携やICTの活用で入力の手間を減らしている施設もありますが、体制構築には時間がかかるため、まずは(I)を安定運用してから段階的に(II)(III)を目指す施設も多いです。

また、(III)は口腔衛生管理加算(II)・栄養マネジメント強化加算という別分野の加算とセットになっているため、機能訓練指導員・歯科衛生士・管理栄養士など複数職種の連携体制がすでに整っていないと着手しづらい点も悩みどころです。それぞれの加算の担当者間で入所者情報を共有する仕組みを先に作っておくと、(III)への移行がスムーズになります。加算の種類や算定の可否は個々の事業所の状況によって判断が分かれる部分もあるため、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

よくある疑問・誤解しやすいポイント

「機能訓練指導員を1人配置すれば加算が自動的に取れる」という誤解が見られますが、実際には多職種が共同で個別機能訓練計画を作成し、計画に基づいて計画的に訓練を実施していることが要件です。配置しているだけで計画作成・実施の実態が伴っていなければ、(I)であっても算定要件を満たしません。

「(III)を取れば(I)(II)は算定しなくてよい」という誤解もありますが、(II)(III)は(I)への上乗せ算定であり、(III)だけを単独で算定することはできません。段階を踏んで要件を満たしていく必要があります。

「機能訓練指導員は看護師でなければならない」という誤解も根強いですが、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師も対象資格です。逆に介護福祉士は、基準が定める対象資格には含まれていません。

まずは自施設で個別機能訓練加算がどの区分まで算定できそうか、無料の介護報酬・加算シミュレーターで試算してみましょう。

まとめ

  • 特養の個別機能訓練加算は(I)12単位/日、(II)(III)各20単位/月(令和6年度改定時点、厚生省告示第21号)
  • 機能訓練指導員は入所者数に連動しない「1以上」の配置で、3対1の介護・看護職員の枠とは別枠
  • 対象資格は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師(生活場面の訓練に限り生活相談員・介護職員の兼務可)
  • (I)は多職種共同での計画作成・計画的実施が要件、(II)(III)はLIFE提出や他加算との連携が加わる上乗せ構造
  • 兼務の実態管理やLIFE提出体制の負担が現場でつまずきやすいポイント
  • 正確な算定可否・最新の要件は事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください

よくある質問

Q. 個別機能訓練加算(I)(II)(III)は併算定できますか?

(II)(III)は(I)を算定していることが前提の上乗せ算定です。(I)を算定せずに(II)(III)だけを単独で算定することはできません。詳しい算定要件は指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準に定められています。

Q. 機能訓練指導員を1人配置すれば加算は取れますか?

配置しているだけでは要件を満たしません。機能訓練指導員を含む多職種が共同で入所者ごとの個別機能訓練計画を作成し、その計画に基づいて計画的に機能訓練を実施していることが(I)の算定要件です。

Q. (III)を算定するために必須の加算は何ですか?

口腔衛生管理加算(II)及び栄養マネジメント強化加算です。これらをあわせて算定し、口腔・栄養に関する情報を機能訓練指導員等の関係職種間で共有したうえで、必要に応じて個別機能訓練計画を見直すことが求められます。

Q. 機能訓練指導員はどんな資格が必要ですか?

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員(看護師・准看護師)・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格が必要です。指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準についてに定められています。ただし日常生活やレクリエーション等を通じた機能訓練指導に限っては、生活相談員又は介護職員が兼務しても差し支えありません。

Q. 機能訓練指導員は3対1の介護・看護職員の人数に含めてよいですか?

含めることは想定されていません。介護・看護職員の3対1配置と機能訓練指導員の「1以上」配置は、基準省令上それぞれ別項目として定められている別枠の要件です。自施設の職員がどちらの基準に当てはまるか整理したい場合は、自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士に確認することをおすすめします。

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