老健の看護職員配置で「うちは基準を満たしているか」不安な方へ
介護老人保健施設(老健)を運営していて、「看護職員は何人配置すれば基準を満たすのか」「介護職員との割合はどう考えればよいのか」と迷ったことはないでしょうか。老健は特養と同じ「3:1」という言葉でくくられがちですが、看護職員の割合や夜勤の考え方には老健ならではの特徴があります。この記事では、根拠となる基準省令の条文に沿って、看護・介護職員の配置基準と夜勤体制の考え方を具体的に整理します。
老健における配置基準の特徴
老健の看護・介護職員に関する配置基準は、「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(平成11年厚生省令第40号)第2条第1項第3号に定められています。条文では、看護職員(看護師・准看護師)と介護職員を合わせて「看護・介護職員」とし、常勤換算方法で入所者の数が3またはその端数を増すごとに1人以上と規定したうえで、「看護職員の員数は看護・介護職員の総数の7分の2程度を、介護職員の員数は7分の5程度をそれぞれ標準とする」と、内訳の目安まで踏み込んで示している点が特養(厚生省令第39号)とは異なります。特養にも同じ3:1の最低基準はありますが、看護と介護の内訳比率を条文で明示しているのは老健の特徴です。リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)の配置も別枠で評価される点も老健らしさのひとつです。
押さえておきたい基準・考え方
3:1基準は「常勤換算数」で判定します。常勤換算数とは、非常勤職員の勤務時間を常勤職員の人数に置き換えて計算する方法(常勤職員数+非常勤職員の週勤務時間合計÷常勤の週所定労働時間、小数点第2位以下切り捨て)で、頭数(実人数)とは一致しません。たとえば入所者80人の老健であれば、必要な看護・介護職員の常勤換算数は「80÷3=26.67…→端数切り上げで27人以上」です。このうち看護職員は27人×7分の2=約7.7人(8人程度)、介護職員は27人×7分の5=約19.3人(19人程度)が標準的な配分の目安になります。
| 職種 | 基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 看護・介護職員(合計) | 入所者3人につき常勤換算1人以上 | 厚生省令第40号第2条第1項第3号 |
| 看護職員 | 看護・介護職員総数のおおむね7分の2 | 同上(標準) |
| 介護職員 | 看護・介護職員総数のおおむね7分の5 | 同上(標準) |
自施設の入所者数から必要人数を確認したい場合は、人員配置基準チェッカーに人数を入力すると、常勤換算数と基準人数を自動計算できます。
現場でよくある悩み・対応のヒント
「看護師の採用が追いつかず、7分の2の目安を満たせない」という悩みは老健で特によく聞かれます。この7分の2・7分の5という配分は条文上「程度を標準とする」という表現になっており、3:1の合計基準を満たしたうえでの目安・努力目標という位置づけです。ただし、基準の解釈通知(老企第44号)では、看護・介護職員は原則として常勤職員であるべきとしたうえで、常勤の看護・介護職員が基準省令上の算定員数のおおむね7割程度確保されていることを非常勤職員活用の前提として示しています。非常勤中心の体制を組む際は、この7割の目安も踏まえて常勤比率を管理する必要があります。
夜勤体制については、居室が多床室・従来型個室中心の一般的な老健の場合、第2条自体には「夜勤者を何人配置せよ」という具体的な人数までは定められておらず、同通知では夜間の安全確保と入所者のニーズに対応できる看護・介護職員の夜勤体制を確保することが求められています。一方、ユニット型の老健では基準省令第48条第2項第2号により、2ユニットごとに1人以上の介護職員または看護職員を夜間・深夜の勤務に配置することが明文化されています。ユニット型か多床室中心かで夜勤配置の考え方が変わる点は、シフトを組むうえで見落としやすいポイントです。
よくある疑問・誤解しやすいポイント
「7分の2・7分の5」を絶対的な人数基準だと誤解しているケースも見られますが、法令上の必須要件はあくまで合計の3:1であり、内訳比率は標準・目安です。とはいえ実地指導などでは内訳の妥当性も確認されうるため、看護職員が極端に少ない体制を続けることは避けたいところです。また、老健は特養と異なり在宅復帰を支援する施設としての性格上、看護職員には医療的なケアやリハビリとの連携も期待されており、単純な人数合わせだけでなく、看取りや医療ニーズへの対応力も踏まえた配置を検討する施設が増えています。個別の解釈や実地指導での取り扱いについては、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。
自施設の看護・介護職員体制が基準を満たしているか不安な方は、まずは無料の人員配置基準チェッカーで確認してみましょう。
まとめ
- 老健の看護・介護職員は常勤換算で入所者3人につき1人以上(厚生省令第40号第2条第1項第3号)
- 内訳は看護職員が総数の7分の2程度、介護職員が7分の5程度を標準とする目安であり、絶対的な人数基準ではない
- 非常勤職員を活用する際は、常勤の看護・介護職員が基準員数のおおむね7割程度確保されていることが前提とされている
- 夜勤体制は、多床室中心の従来型では明確な人数規定がなく安全確保を求める内容にとどまる一方、ユニット型は2ユニットに1人以上と明文化されている
- 2026年時点の基準に基づく内容であり、次回の介護報酬改定は2027年度に見込まれているため、最新情報は公式発表で確認する
- 個別の当てはめに迷う場合は、事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士に確認するのが確実
よくある質問
Q. 老健の看護職員は、必ず看護・介護職員全体の7分の2以上いないといけませんか?
いいえ。厚生省令第40号第2条第1項第3号は「7分の2程度を標準とする」という表現になっており、法令上の必須要件は看護・介護職員合計での「入所者3人に1人以上(3:1)」です。7分の2・7分の5は望ましい内訳の目安という位置づけです。
Q. 老健と特養で、看護職員の配置基準に違いはありますか?
合計の3:1基準は老健・特養(厚生省令第39号第2条第1項第3号)とも共通です。ただし内訳比率(看護7分の2・介護7分の5程度)を条文で示しているのは老健の特徴で、特養の基準省令には同様の内訳規定はありません。
Q. 夜勤は看護職員と介護職員のどちらが担当してもよいのですか?
基準省令上は「看護職員又は介護職員」という表現が使われており、職種を限定していません。ただしユニット型老健は2ユニットに1人以上の配置が明文化されている一方、多床室中心の従来型には具体的な人数規定がなく、安全確保に必要な体制を確保することが求められています。自施設の設備区分に応じた運用は自治体・社会保険労務士に確認することをおすすめします。
Q. パート・非常勤の看護師だけで基準を満たすことはできますか?
看護・介護職員は原則として常勤職員であるべきとされており、老企第44号では常勤の看護・介護職員が基準員数のおおむね7割程度確保されていることが非常勤活用の前提として示されています。非常勤への依存度が高すぎる体制は避けたほうがよいでしょう。