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老健の在宅強化型・超強化型に必要な人員|リハビリ職の配置と在宅復帰率

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

この記事の結論

老健の基本報酬は「在宅復帰・在宅療養支援等指標」(最高90点)の合計点で超強化型(70点以上)・在宅強化型(60点以上)・加算型(40点以上)・基本型(20点以上)に区分され、リハビリ専門職の配置割合はこの指標の1項目(最大5点)。5点を得るには常勤換算で入所者数の5%以上に加え、PT・OT・STそれぞれが入所者数の0.2%以上必要です(令和6年度改定後の基準)。

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「うちの老健、リハビリ職をもっと増やせば基本報酬の区分は上がるのか」「在宅強化型と超強化型、何が違うのか分からないまま加算の届出をしている」——老健(介護老人保健施設)の経営・現場管理に携わる方から、こうした声をよく聞きます。一般的な人員配置基準の解説だけでは、老健特有の「型」と職種配置の関係までは分かりにくいものです。この記事では、老健の基本報酬を左右する在宅復帰・在宅療養支援等指標と、そこに組み込まれたリハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)の配置基準に絞って解説します。

老健の基本報酬が「型」で変わる仕組み

老健は、要介護者の心身機能の維持回復を図りながら居宅における生活への復帰を目指す施設と法令上位置づけられています(介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)第1条の2)。特養や老人福祉施設と決定的に違うのは、基本報酬そのものが「在宅復帰・在宅療養支援等指標」という得点制の指標で複数の型に分かれている点です。

この指標は①在宅復帰率、②ベッド回転率、③入所前後訪問指導割合、④退所前後訪問指導割合、⑤居宅サービスの実施数、⑥リハ専門職の配置割合、⑦支援相談員の配置割合、⑧要介護4・5の割合、⑨喀痰吸引の実施割合、⑩経管栄養の実施割合の10項目を足し合わせた最高90点の値で、この合計点によって基本報酬が超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他型の5区分に分かれます。区分の基準点数と各項目の配点は、厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)に定められています。

リハビリ職の配置は、この10項目のうちの1項目(最大5点)として組み込まれています。つまり「リハビリ職を厚く配置すれば必ず超強化型になる」わけではなく、在宅復帰率やベッド回転率など他の実績要件も同時に満たす必要がある、という点が老健特有の悩みどころです。

自施設が現状どの区分に該当しそうか目安を掴みたい方は、人員配置基準チェッカーで職種ごとの必要人数を試算してみてください。

押さえておきたい基準・考え方

まず土台になるのは、老健の人員基準そのものです。理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、常勤換算方法で入所者数を100で除した数以上の配置が必要と定められています(平成11年厚生省令第40号第2条)。常勤換算(パート職員の勤務時間を常勤職員の人数に置き換えて計算する方法)は「常勤職員数+非常勤職員の週勤務時間合計÷常勤の週所定労働時間」で求め、小数点第2位以下を切り捨てます。

例えば入所者98人の老健であれば、98÷100=0.98→端数を切り上げて常勤換算1人以上のPT・OT・STが基準省令上の最低ラインです。ただし、これは「基準を満たすだけ」の水準であり、在宅強化型・超強化型を目指すには前述の指標⑥でより高い配点を取る必要があります。

在宅復帰・在宅療養支援等指標におけるリハビリ職配置割合(項目⑥)の配点は、令和6年度改定で次のように整理されています(前掲告示)。

配置状況配点
常勤換算PT・OT・ST合計が入所者数の5%以上、かつPT・OT・STそれぞれが入所者数の0.2%以上5点
常勤換算PT・OT・ST合計が入所者数の5%以上(上記の3職種要件は満たさない)3点
常勤換算PT・OT・ST合計が入所者数の3%以上5%未満2点
常勤換算PT・OT・ST合計が入所者数の3%未満0点

例えば入所者98人の老健で、常勤換算で理学療法士2.5人・作業療法士1.8人・言語聴覚士0.9人を配置しているケースで考えてみます。合計は5.2人で、98人で除して100を乗じると約5.3となり5以上です。さらにPT(約2.55)・OT(約1.84)・ST(約0.92)のいずれも0.2以上を満たしているため、この項目は満点の5点となります。逆に、PT・OTだけを厚くしてSTが0.2に届いていないと、合計が5以上であっても3点にとどまる点に注意が必要です。

さらに超強化型・在宅強化型では、指標の合計点数に加えて「充実したリハ」(少なくとも週3回程度以上のリハビリテーションの実施)の要件も別途課されています。加算型・基本型にはこの要件はありません。区分ごとの基準点数は、超強化型が70点以上、在宅強化型が60点以上、加算型が40点以上、基本型が20点以上(それ未満はその他型)です。

現場でよくある悩み・対応のヒント

リハビリ職を採用してもなかなか超強化型の水準に届かない、という相談でとくに多いのが「PT・OTは確保できたがSTが不足している」パターンです。前述のとおり令和6年度改定後は3職種それぞれが入所者数の0.2%以上という個別要件があるため、合計人数だけを見て採用計画を立てると、ST不足で5点を取り逃すことがあります。非常勤のSTを週1〜2日でも確保できれば常勤換算値は押し上げられるため、常勤採用にこだわらず非常勤・業務委託も含めて検討する事業所が増えています。

もう一つの悩みは、リハビリ職の配置割合を上げても在宅復帰率やベッド回転率が伴わず、指標の合計点が区分の基準点に届かないケースです。リハビリ体制の充実は在宅復帰支援の土台にはなりますが、それだけで区分は上がりません。退所前後訪問指導や居宅サービスの実施数など、相談員・ケアマネジャーとの連携が必要な項目もあわせて底上げする必要があります。

夜勤体制や兼務の悩みについては、老健の場合もリハビリ職は日中のリハビリテーション提供が中心で夜勤には入らない事業所がほとんどですが、支援相談員や看護・介護職員との兼務が生じやすい部分でもあります。指標⑦の支援相談員の配置割合も令和6年度改定で社会福祉士の配置有無が評価されるようになったため、リハビリ職だけでなく相談員体制もあわせて点検すると、区分変更の見通しが立てやすくなります。

よくある疑問・誤解しやすいポイント

「リハビリ職を100対1ギリギリしか配置していないと減算になるのでは」と誤解されがちですが、100対1は基準省令上満たすべき最低基準であり、これを下回らない限り運営基準上の人員配置違反にはなりません。強化型・超強化型に届かないのは「基準違反」ではなく「加算・基本報酬区分の得点が足りない」状態です。

もう一つの誤解が、「非常勤のリハビリ職は指標の計算に含められない」というものです。常勤換算方法で計算する以上、非常勤職員の勤務時間も換算されて合算されます。自施設の現状を数値で確認したい場合は、人員配置基準チェッカーで常勤換算数を試算し、区分ごとの目安と照らし合わせてみるとよいでしょう。

なお、実際の届出内容や算定要件の充足状況は施設ごとの実績データに基づいて判定されるため、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。2026年時点の基準に基づく内容であり、介護報酬改定はおおむね3年に一度、次回は2027年度に見込まれています。制度改定時は必ず最新の公式発表を確認してください。

まとめ

  • 老健の基本報酬は「在宅復帰・在宅療養支援等指標」(最高90点)の合計点で5区分に分かれ、超強化型は70点以上、在宅強化型は60点以上が基準
  • リハビリ専門職の配置割合は指標の1項目(最大5点)で、令和6年度改定後は合計5%以上に加え、PT・OT・STそれぞれ0.2%以上という職種別の要件がある
  • PT・OT・STの基準省令上の最低配置は常勤換算で入所者数の100分の1(第2条)だが、これは強化型を満たす水準ではない
  • リハビリ職だけでなく、在宅復帰率・訪問指導割合・支援相談員の配置状況もあわせて点検する必要がある
  • 自施設の判定や届出は、必ず自治体(指定権者)や社会保険労務士に確認する

よくある質問

Q. 超強化型と在宅強化型の違いは何ですか?

どちらも在宅復帰・在宅療養支援等指標の合計点で判定され、超強化型は70点以上、在宅強化型は60点以上が基準です(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)。両区分とも「充実したリハ」(週3回程度以上のリハビリ実施)の要件があり、加算型・基本型にはこの要件がありません。

Q. リハビリ専門職はPT・OT・STを必ず3職種そろえないといけませんか?

基準省令上の最低基準(100対1)は3職種の合計人数で判定されるため、必ずしも3職種すべてを揃える義務はありません。ただし在宅復帰・在宅療養支援等指標でこの項目の満点(5点)を得るには、合計が入所者数の5%以上であることに加え、PT・OT・STそれぞれが入所者数の0.2%以上という要件を満たす必要があります(前掲告示)。

Q. 非常勤のリハビリ職でも配置割合の計算に含められますか?

含められます。配置割合は常勤換算方法(非常勤職員の勤務時間を常勤職員数に換算する方法)で算定するため、非常勤のPT・OT・STの勤務時間も合算されます。

Q. 令和6年度改定でリハビリ職以外に変わった点はありますか?

入所前後訪問指導割合・退所前後訪問指導割合の区分基準が引き上げられたほか、支援相談員の配置割合の項目で社会福祉士を配置しているかどうかが新たに評価されるようになりました。詳細な配点は所管の自治体に確認することをおすすめします。

Q. 自施設がどの型に該当するか分からない場合はどうすればよいですか?

在宅復帰率やベッド回転率など指標の各項目は施設の実績データから算出する必要があるため、まずは直近数か月の入退所記録を整理したうえで、事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士に確認するのが確実です。あわせて人員配置基準チェッカーでリハビリ職の常勤換算数を試算しておくと、相談時の材料になります。

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