介護施設の運営ガイド
施設タイプ別

グループホームの計画作成担当者になるための要件

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

🔧 この記事に関連するツール

人員配置基準チェッカーで確認する

グループホームの計画作成担当者とは

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)を運営していて、「計画作成担当者にはどんな資格が必要なの?」「ケアマネ資格がない職員でも担当者になれる?」と悩んだことはありませんか。在宅ケアマネとは役割が異なるうえ、令和3年の改定で配置基準も変わったため、混乱しやすいポイントが多い職種です。この記事では、計画作成担当者になるための要件・仕事内容・現場でよくある悩みを具体的に解説します。

グループホームにおける計画作成担当者の特殊性

グループホームは「地域密着型サービス」に分類され、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)に基づく指定基準が適用されます。

他の介護施設と大きく異なる点は、利用者のケアプランを外部のケアマネが作らず、事業所内の計画作成担当者が作成するという仕組みです。特別養護老人ホームや老健では施設の担当者が計画を作りますが、グループホームの利用者は在宅介護保険の被保険者として認定されており、居宅サービス計画書に相当する「施設サービス計画書」を事業所内で完結させなければなりません。

この役割を担うのが計画作成担当者です。グループホームは認知症の方が少人数で「家庭に近い環境」で暮らす施設であるため、計画作成担当者には認知症ケアへの専門的な理解が特に求められます。外部のケアマネから計画を受け取るのではなく、日々利用者と接する職員自身が計画を立てる、というのがグループホームならではの仕組みです。

計画作成担当者になるための要件

必要な資格・研修

計画作成担当者になるには、次の2種類のいずれかの要件を満たす必要があります。

区分要件主な対象者
①認知症介護実践者研修 修了者厚生労働大臣が定める研修を修了していること介護現場の職員がスキルアップするルート
②介護支援専門員(ケアマネジャー)介護支援専門員証を保有していること事業所に1名以上の配置が必須

重要なポイント:計画作成担当者全員がケアマネ資格を持つ必要はありませんが、事業所ごとに1名以上は介護支援専門員でなければなりません(同基準第90条第6項)。ケアマネ以外の担当者は認知症介護実践者研修を修了することで任用要件を満たします。

認知症介護実践者研修を受けるための要件

認知症介護実践者研修を受けるには、都道府県が定める受講要件を満たす必要があります。一般的には次のような基準が設けられています。

  • 介護保険施設・事業所等に勤務する介護職員であること
  • 認知症の方の介護に関する実務経験がおおむね2年程度あること

研修は講義・演習・実習(認知症対応型事業所等での4週間程度の実習を含む)で構成されており、修了することで計画作成担当者としての任用要件を満たします。受講の申し込みは事業所を通じて都道府県に行います。

受講要件の詳細は都道府県によって異なるため、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。


自施設の介護職員の人員配置が基準を満たしているか確認したい方は、人員配置基準チェッカーもあわせてご活用ください。


令和3年改定で変わった「配置のルール」

令和3年(2021年)4月の介護報酬改定で、介護支援専門員である計画作成担当者の配置基準が緩和されました。人材の有効活用を図る観点からの改定です。

改定前:ユニットごとに1名以上の介護支援専門員が必要
改定後:事業所ごとに1名以上の介護支援専門員でOK(最大3ユニットまで兼務可)

この緩和により、2ユニット・3ユニット事業所でもケアマネ資格者が1名いれば、残りのユニットの計画作成担当者は認知症介護実践者研修修了者で対応できるようになりました。ケアマネ資格者の確保が難しいグループホームにとって、現実的な運営を後押しする改定です。

ただし、計画作成担当者を置かなくてよいわけではありません。ユニットごとに1名の計画作成担当者の配置は依然として必要であり、緩和されたのは「そのうちケアマネ資格者が何名必要か」という部分です。

配置パターン早見表(2026年時点の基準)

ユニット数計画作成担当者の最低配置人数うちケアマネ資格者の最低人数
1ユニット1名以上1名(全員がケアマネ)
2ユニット2名以上1名(残り1名は実践者研修修了者でOK)
3ユニット3名以上1名(残り2名は実践者研修修了者でOK)

計画作成担当者の仕事内容

グループホームの計画作成担当者の業務は、在宅ケアマネ(居宅介護支援事業所の介護支援専門員)と共通点がありますが、次の点で異なります。

主な業務内容

  • 利用者・家族へのアセスメント(生活歴・意向・身体状況の把握)
  • 施設サービス計画書(ケアプラン)の作成・更新
  • 担当介護職員への計画内容の説明・共有
  • 定期的なモニタリング・評価(少なくとも月1回)
  • 家族・医療機関・地域包括支援センターとの連絡調整

グループホームならではの特徴

グループホームは事業所の規模が小さいため、計画作成担当者自身が現場の介護業務も兼ねるケースが一般的です。在宅ケアマネは事業所外の自宅を訪問してプランを立てますが、グループホームの計画作成担当者は日々の生活を共にしながら利用者の状態を把握できるという強みがあります。認知症の方の言葉にならない意向を読み取り、尊厳を守る計画を立てる力が特に求められます。

計算例:1ユニット9名定員の場合

グループホームの日中の介護職員配置基準は「利用者3名に対して介護職員1名以上(常勤換算)」です。2026年時点の基準では、たとえば1ユニット定員9名の事業所で、常勤職員が2名・週20時間の非常勤職員が3名(常勤の週所定労働時間は40時間)の場合:

常勤換算数 = 2名 +(20時間 × 3名 ÷ 40時間)= 2 + 1.5 = 3.5

9名 ÷ 3 = 3.0 → 切り上げで介護職員は常勤換算3名以上が必要なので、3.5名の配置で基準を満たします。この計算が複雑な場合は人員配置基準チェッカーで自動判定できます。

現場でよくある悩みと対応のヒント

「ケアマネ資格者が採用できない」

グループホームは地域密着型サービスのため、事業所の規模も小さく大手法人のような求人力を出しにくいです。ケアマネ資格者の確保は特に難航しやすい問題です。

対応のヒントとしては、既存の介護職員に認知症介護実践者研修の受講を積極的に支援し、その後ケアマネ試験を目指すキャリアパスを設計する方法があります。研修費用の補助・試験対策の支援を人材育成計画に組み込むことで、長期的な安定につながります。令和3年改定の緩和により、今すぐケアマネを複数採用しなくても運営できる体制が整ったことで、既存職員を育てる時間的な余裕が生まれています。

「計画作成と介護業務の両立が大変」

グループホームの規模上、計画作成担当者が現場の介護業務も担うケースは珍しくありません。モニタリングや計画書の更新期限が重なると、特に負担が集中します。

モニタリングや計画更新のスケジュールを月次でカレンダー管理し、繁忙期(年度末・GW前後など)を見越して前倒しの作業習慣をつけることが現実的な対策です。記録システムやICTツールの活用で書類業務の負担を軽減している事業所も増えています。

「計画作成担当者が急に退職・病欠したら?」

一時的なやむを得ない事情の場合、直ちに指定取消とはなりませんが、指定権者への報告と速やかな補充対応が求められます。事業継続の観点から、複数の職員が認知症介護実践者研修を修了しておく体制(=常に後継者がいる状態)が重要です。

よくある疑問と誤解しやすいポイント

計画作成担当者とケアマネは同じ仕事をするの?

役割は非常に似ていますが、在宅ケアマネは複数の居宅サービス事業者を調整する「コーディネーター」としての側面が強く、グループホームの計画作成担当者は施設内で完結する計画立案と現場介護を一体的に担います。グループホームに外部のケアマネが計画を作ることはないため、事業所内の担当者がすべての責任を持ちます。

計画作成担当者は「専従」でなければならない?

指定基準上は「専ら当該業務に従事する」が原則ですが、「業務に支障がない場合は他の職務を兼ねることができる」と定められており、現場では介護業務との兼務が広く行われています。ただし計画書の作成・モニタリング等の担当業務がおろそかになると指導対象になるため、業務量のバランス管理は必要です。


まとめに入る前に、自施設の人員配置が現行基準を満たしているか確認したい方は、まずは無料の人員配置基準チェッカーで確認してみてください。


まとめ:計画作成担当者になるためのチェックリスト

グループホームの計画作成担当者について、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 計画作成担当者はユニットごとに1名以上の配置が必要(2ユニットなら2名以上)
  • そのうち1名以上は介護支援専門員(ケアマネ資格者)でなければならない(令和3年改定で「事業所ごと1名」に緩和)
  • ケアマネ以外の担当者は「認知症介護実践者研修」の修了が任用要件
  • 認知症介護実践者研修の受講にはおおむね2年程度の実務経験が必要で、都道府県経由で申し込む
  • 計画作成担当者は介護業務との兼務が一般的で、後継者育成と業務管理の仕組みづくりが安定運営の鍵
  • 具体的な指定基準の解釈・確認は、事業所所在地の自治体(指定権者)に問い合わせること

よくある質問

Q. 認知症介護実践者研修を修了すれば、すぐに計画作成担当者になれますか?

研修修了で任用要件は満たします。ただし、計画作成担当者として実際に業務に就くには事業所側の変更届等の手続きが必要な場合があります。また、担当ユニットに1名以上の担当者を置く体制づくりと、既存担当者からの引き継ぎが伴います。研修修了後の手続きについては、事業所所在地の自治体(指定権者)にご確認ください。

Q. グループホームの計画作成担当者は介護業務と兼務できますか?

できます。指定基準上「業務に支障がない場合は他の職務を兼ねることができる」とされており、多くの事業所では介護業務との兼務が実態です。ただし計画書の作成・モニタリングなど担当業務をおろそかにしないよう、業務量の管理が必要です。

Q. 3ユニット事業所で唯一のケアマネが退職した場合、どうなりますか?

指定基準を満たさなくなるため、速やかな補充が必要です。対応できない期間が続くと、指定取消や各種加算の減算リスクが生じます。事業継続の観点から、ケアマネ資格取得を目指す職員を計画的に育成しておくか、近隣事業所との連携体制を事前に検討しておくことが重要です。詳しい対応は事業所所在地の自治体(指定権者)にご相談ください。

Q. 認知症介護実践者研修の受講費用は自己負担ですか?

都道府県によって異なりますが、公費で実施している自治体が多く、受講料は無料または低額に設定されているケースがほとんどです。ただし実習先への交通費・テキスト代などは自己負担となる場合があります。詳細は都道府県の担当窓口または事業所所在地の自治体にお問い合わせください。

Q. サテライト型グループホームでは計画作成担当者の要件が違いますか?

サテライト型指定認知症対応型共同生活介護事業所の場合、本体事業所の介護支援専門員との連携が図れることを要件として、計画作成担当者が全員ケアマネ資格者でなくても認められる特例があります。ただし適用条件があるため、詳しくは指定権者にご確認ください。

この記事の内容を実際に診断してみる

人員配置基準チェッカーで確認する

参考にした一次情報

関連記事