介護施設の運営ガイド
施設タイプ別

デイサービスの機能訓練指導員、資格要件と確保のコツ

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

🔧 この記事に関連するツール

人員配置基準チェッカーで確認する

「機能訓練指導員を採用したいが、どの資格を持つ人なら任せられるのか分からない」「看護師に兼務させているが、それで基準上問題ないのか不安」——デイサービス(通所介護)の運営でこうした悩みを抱える方は少なくありません。この記事では、機能訓練指導員という職種に絞り、資格要件・配置の考え方・確保のコツを具体的に整理します。

デイサービスの機能訓練指導員、他の職種と何が違うのか

機能訓練指導員の配置基準を理解するうえでまず押さえておきたいのは、この職種が「資格の種類」で要件を定めている点です。介護職員のように利用者数に応じて人数が増減する仕組みではなく、看護職員のように「単位ごとに専従」でもありません。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条では、通所介護事業所に機能訓練指導員を1人以上配置することとされていますが、常勤・専従を求める規定はなく、他の職務との兼務も認められています。

一方で「誰でもなれる」わけではなく、就ける資格が法令で限定されている点が他の職種と大きく異なります。採用の間口を広げようとしても、対象資格を持たない職員を機能訓練指導員として届け出ることはできません。この「資格要件は厳格だが、配置の柔軟性は高い」というねじれた特徴が、デイサービスの機能訓練指導員をめぐる悩みの根っこにあります。

機能訓練指導員になれる資格一覧と実務要件

基準省令第93条および解釈通知(指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について)では、機能訓練指導員として認められる資格を次のように定めています。

資格実務経験などの追加要件
理学療法士(PT)なし
作業療法士(OT)なし
言語聴覚士(ST)なし
看護職員(看護師・准看護師)なし
柔道整復師なし
あん摩マッサージ指圧師なし
はり師・きゅう師機能訓練指導に関する経験を有する者に限る(他の機能訓練指導員がいる事業所等での実務経験がおおむね6か月以上)

はり師・きゅう師だけ実務経験の条件が付いているのがポイントです。開業したばかりの鍼灸師をいきなり機能訓練指導員として単独配置することはできず、他の機能訓練指導員がいる職場での経験を積んでもらう必要があります。この資格範囲や実務経験の数え方の解釈は地域によって運用に細かな差が出ることがあるため、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

自施設の職員体制でこの職種の要件を満たせているか確認したい場合は、人員配置基準チェッカーで他の職種とあわせて診断できます。

現場でよくある悩みと確保のコツ

看護師との兼務は「時間の実態」がカギ

機能訓練指導員は看護職員が兼務するケースが最も多いパターンです。基準上は兼務自体が禁止されていませんが、令和3年度介護報酬改定に関するQ&Aでは、管理者が機能訓練指導員を兼務する場合も含め、「管理者としての業務や兼務先の職務に支障がない範囲」であることが前提とされています。看護業務でシフトが埋まっている時間に機能訓練指導員としての業務も同時に行っていた、という実態のない兼務は基準違反とみなされるおそれがあるため、どの時間帯にどちらの業務を行ったかを記録に残しておくことが望まれます。

非常勤の組み合わせで確保する場合の考え方

機能訓練指導員そのものには常勤換算数(パート職員の勤務時間を常勤職員の人数に置き換えて計算する方法)の要件はありませんが、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)を算定する場合は「専従の機能訓練指導員を1名以上配置」が要件になり、常勤・非常勤の別は問わないものの、配置時間の実態を積み上げて説明できる体制が必要です。

常勤換算数の計算式は次のとおりです。

常勤換算数 = 常勤職員数 + 非常勤職員の週勤務時間合計 ÷ 常勤の週所定労働時間(小数点第2位以下切り捨て)

【計算例】週所定労働時間40時間の事業所で、理学療法士(週15時間の非常勤)とあん摩マッサージ指圧師(週12時間の非常勤)を組み合わせる場合

常勤換算数:0 +(15時間 + 12時間)÷ 40時間 = 27 ÷ 40 = 0.675 → 小数点第2位以下切り捨てで 0.6人

この例のように、常勤1人を採用できなくても複数の非常勤資格者を組み合わせて機能訓練指導員の体制を作ること自体は基準上可能です。ただし個別機能訓練加算の算定要件を満たすかどうかは「専従」の実態や配置時間の考え方次第で変わるため、加算を狙う場合は計画書と勤務実績の突き合わせを丁寧に行う必要があります。

採用市場での確保が難しい場合の工夫

理学療法士・作業療法士は訪問リハビリや医療機関との取り合いになりやすく、あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師は開業志向の人材も多いため、通所介護の非常勤としての採用は事業所によって難易度が異なります。近隣の医療機関や整骨院に副業・兼業での勤務を打診したり、はり師・きゅう師を実務経験要件を満たすところから育成したりと、資格の間口の広さを活かした確保策を検討している事業所もあります。

よくある誤解しやすいポイント

「機能訓練指導員は看護師でなければならない」という誤解がよく見られますが、実際には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・一定の実務経験を持つはり師きゅう師も対象です。逆に「介護福祉士の資格があれば機能訓練指導員になれる」という誤解も見られますが、介護福祉士は基準省令が定める対象資格に含まれていないため、機能訓練指導員として届け出ることはできません。

また「常勤で1人置けば加算も自動的に取れる」と考えているケースもありますが、個別機能訓練加算の算定には機能訓練計画の作成への主体的な関与や、利用者への直接実施・効果評価への関与など、配置以外の要件も別途定められています。加算の算定要件は改定のたびに見直されるため、最新の内容は厚生労働省の発表や人員配置基準チェッカーなどで随時確認するとよいでしょう。まずは自施設の現状を確認してみたい方は、無料の人員配置基準チェッカーをお試しください。

まとめ

  • 機能訓練指導員の配置基準は基準省令第93条で「1人以上、他職種との兼務可」と定められている
  • 就ける資格は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・一定の実務経験を持つはり師きゅう師に限定されている
  • 介護福祉士は対象資格に含まれておらず、機能訓練指導員として届け出ることはできない
  • 常勤換算の要件はないが、個別機能訓練加算を算定する場合は「専従」の実態を配置時間で説明できる体制が必要
  • 看護師との兼務は「業務ごとの時間の実態」を記録しておくことが基準違反を避けるポイント
  • 資格範囲の解釈や自施設への当てはめに迷う場合は、詳しくは事業所所在地の自治体(指定権者)や顧問の社会保険労務士にご確認ください

よくある質問

Q. 機能訓練指導員になれる資格を教えてください

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員(看護師・准看護師)・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師、および一定の実務経験(他の機能訓練指導員がいる事業所等でおおむね6か月以上)を持つはり師・きゅう師です。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第93条および解釈通知に定められています。

Q. 介護福祉士は機能訓練指導員になれますか?

なれません。基準省令が定める対象資格に介護福祉士は含まれておらず、介護福祉士の資格のみで機能訓練指導員として届け出ることはできません。

Q. 機能訓練指導員は常勤でなければいけませんか?

機能訓練指導員そのものに常勤要件はなく、非常勤や他職種との兼務でも配置基準上は問題ありません。ただし個別機能訓練加算を算定する場合は「専従」の配置実態を説明できる体制が必要になるため、加算を狙うかどうかで求められる配置の厳密さが変わります。

Q. 看護師に機能訓練指導員を兼務させる場合の注意点は?

兼務自体は基準上認められていますが、看護業務と機能訓練指導業務のどちらにどれだけの時間を充てたか、実態として説明できることが前提です。令和3年度介護報酬改定に関するQ&Aでも兼務時の業務内容の整理が求められており、記録を残しておくことをおすすめします。

Q. はり師・きゅう師は実務未経験でも機能訓練指導員になれますか?

なれません。はり師・きゅう師については、他の機能訓練指導員がいる事業所等での実務経験がおおむね6か月以上あることが条件とされています。開業直後の鍼灸師を単独で機能訓練指導員として配置することはできません。

この記事の内容を実際に診断してみる

人員配置基準チェッカーで確認する

参考にした一次情報

関連記事